第67章 毎食、ご飯を半膳多く食べることを保証するよ

長谷川栞は、背後に誰かが立ったことにも気づかないみたいに、筆が冴えわたっていた。

ほんの数本の線で、室内のベッドと、卓上のスタンドライト。

まだ色を置いていないのに、光と影――ふたつの世界が、すぱりと切り分けられて見える。

「……真夜中」

高野咲子が、ぽつりと呟いてしまう。

国際コンペに出る準備をしていることは、咲子だって知っている。

だからこそ、その絵を見た瞬間、テーマが反射的に頭をよぎったのだ。

背後の声に、長谷川栞はふっと意識を引き戻される。

目尻が濡れていた。

栞は筆を止め、同じ姿勢のまま七、八秒――固まったように静止してから、ようやく手を下ろした。

「す、すみま...

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